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チーム医療の推進で議論―厚労省検討会

10月5日22時46分配信 医療介護CBニュース

チーム医療の在り方を検討するため、8月末にスタートした厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」(座長=永井良三・東大大学院教授)。議論を進める上で障害となっているのが法律の壁だ。保健師助産師看護師法(保助看法)では、看護師の業務について「療養上の世話又は診療の補助」(第5条)と定めており、診療の補助を行う際は主治医の指示に従わなければならない。患者の命を預かる現場では、状況に応じて弾力的に運用されているが、チーム医療を考える上で、事故発生時の責任の所在を明確にする必要もある。看護師の業務範囲はどこまで広げるべきなのだろうか。(敦賀陽平)

 医師法では、「医師でなければ、医業をなしてはならない」(第17条)と定めており、「医業」について、2005年の医政局長通知では「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為を、反復継続する意思をもって行うこと」としている。
 一方、保助看法では、「保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない」(第37条)と定めている。
 療養上の世話に関しては、基本的に医師の指示を必要としないが、厚労省の「新たな看護のあり方に関する検討会」が02年度にまとめた報告書では、「療養上の世話を行う場合にも、状況に応じて医学的な知識に基づく判断が必要となる場合もある。このため、患者に対するケアの向上という観点に立てば、看護師等の業務について、療養上の世話と診療の補助とを明確に区別しようとするよりも、医療の現場において、療養上の世話を行う際に医師の意見を求めるべきかどうかについて適切に判断できる看護師等の能力、専門性を養っていくことが重要である」としている。

 それまで医業とされてきた行為が、診療の補助に組み込まれた例もある。02年9月には「静脈注射」の解釈が変更され、07年12月には「薬剤の投与量の調節」と「救急医療等における診療の優先順位の決定」も明示された。

■弾力的な法解釈で「相当なところまでできる」

 診療補助の解釈をめぐり、10月5日に開かれた検討会の第2回会合では、委員からさまざまな意見が飛び出した。現行法で診療補助の範囲は広げられるとする意見があった一方で、法解釈の拡大は慎重にすべきだとする声もあった。

 静脈注射の解釈変更について、元厚労省保険局保険課長の島崎謙治委員(政策研究大学院教授)は「解釈が変わる直前、形式的な違法行為がまったく発生していなかったかというと、そんなことはなくて、実際はそういうことが行われ、『そこもやむを得ない』『こういう管理のもとであれば、何とかできるのでは』というやり取りがあって、変更されたと思う」との考えを示した。
 また、竹股喜代子委員(亀田総合病院看護部長)は「看護職というのは、診療の補助業務という法規制に深いこだわりを持っていた。これが看護職の独自性の部分で、決める補助という所に広がりを持っていた」と主張。静脈注射については、「法を盾にしてやるべき看護の業務にしないようにしてきたのではないか」との見解を示した上で、医療技術の向上などから、「静脈注射そのものが、診療の補助業務として現場で当たり前になった」と説明した。

 診療補助について、有賀徹委員(昭和大医学部救急医学講座教授)は、「診療補助ということで言えば、相当なところまでできるという実感がある 基本的には、医師がスタッフとの信頼関係の中でやってもらっている」と強調。島崎委員も、「看護師の業務範囲は、ある意味では非常に弾力的に動かせると思う。なぜなら、何が診療補助に該当するかは解釈の話だし、主治医の指示も包括的な方針で構わない。かなり柔軟に解釈することで、範囲を広げることができると思う」と同調した。
 一方、日本クリティカルケア看護学会理事長の井上智子委員(東京医科歯科大大学院教授)は、「疑問を持ちながら医師の指示に従い、誤った注射で患者が亡くなった場合、今の法律では発生時からさかのぼる。『ナースが注射さえしなければ、亡くならなかった』という解釈なので、ナースの責任は免れない」と、過度な法解釈に警戒感を示した上で、「特に医療事故に関する指示との関連性は法的にクリアしてほしい」と求めた。

 看護業務は今後、さらに高度化することが予想される。検討会では、診療看護師「ナースプラクティショナー(NP)」の導入についても議論されており、法整備は重要な議題の一つだ。診療補助の解釈の拡大にとどまらず、さらに踏み込んだ議論を期待したい。

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